「また昔のようにラーメンが食べたい」
私たちは、もともと医療用品メーカーで、透析患者様向けの剥がす際に痛くないテープなどを主力製品として販売していました。
次期製品のモニタリングをしているときに、知り合いの透析患者様から
「本当に食事制限が苦痛。
また昔のように熊本ラーメンを食べられるようなものを作ってほしい。」
という相談を受けました。透析患者様にとってラーメンは塩分・脂肪分が多いため、避けた方が良い食事の一つなのです。
とはいえ、医療用品メーカーである弊社にとって、正直、全く畑違いの商品で開発の方向性も見えていません。それでも、患者様の困っている事を解決するのが私たちの企業理念です。失敗するリスクは覚悟で開発をスタートしました。

開発をスタートしてみたものの
数ヶ月は全く解決の糸口は見えませんでした。
そんな時、ふとテレビで脂肪や糖の吸収を抑制する飲料のCMを見かけ、一筋の光明が差しこみました。「脂肪や糖を吸抑制できるなら、塩=ナトリウムイオンも同じことができるのでは?」そう考え早速、親交のあった熊本大学生命科学研究部の藤原先生に相談し、共同研究を申し込みました。

安心・安全を目指して
様々な文献を調査し、ある食物繊維が塩分を吸着する効果あることがわかりましたが、
その食物繊維には、ナトリウム以上に透析患者様が制限されているカリウムを多く含んでいました。
これでは、透析患者様に使ったいただくことはできません。
私たちは、カリウムやリンを多量に含む原材料は排除しながら、
誰もが安心して手に取って使っていただける食品を目標として検討を進めていき、
約30種類の原材料の中から、昆布やわかめなどの海藻のぬめり成分である
「アルギン酸類」に辿り着きました。
アルギン酸類の原料となるアルギン酸は海藻の藻体に含まれ、D-マンヌロン酸とL-グルロン酸という2種類のウロン酸が直鎖上に連なった構造をしています。ウロン酸が持っているカルボキシル基はイオン交換能が高く、ナトリウムイオンとも容易に結びつきます。また、アルギン酸類は人の消化酵素では分解されない食物繊維のため消化されずにそのまま出ていきます。
アルギン酸の安全性はFAO/WHOで評価され、最も安全な物質のひとつに数えられています。
さらにアルギン酸類は食品の様々な性能付与に関与し、現在、アイスクリーム、ゼリー、ドレッシング、ビールなど様々な食品に利用されているとても身近な存在です。
そして、このアルギン酸類に驚くべき効果があったのです。

※ 画像はイメージです
技術確立
アルギン酸類を主成分にすることを決めた私たちは、製品化に向け研究を続けました。
ところがなぜか、試験管の中で行う試験と、実際に食品としてテストしたものでは同じ効果が得られなかったのです。
何度も実験を繰り返し、アルギン酸類は胃の中でダマになりやすく、これが効果を下げていることがわかりました。
この問題を解決するために、何十種類もの配合を検討し、
2年の歳月と多くの失敗を乗り越えて、塩分をしっかり吸着する配合に至りました。
塩分過剰摂取の問題
当初、透析患者様のために開発を進めていた健康食品でしたが、
塩分の摂りすぎについていろいろと調べていくうちに、実は世界規模での問題であることを知りました。
厚生労働省やWHOでも生活習慣病の予防や健康維持のために減塩をすすめています。
食事は健康に最も身近なことですが、日々の積み重ねで体にとって善にも悪にも変化します。
塩分を摂りすぎるような食事は、腎臓に負担をかけたり、血圧が高くなったり、体に悪影響が出てきてしまいます。
そのような食生活が続くと、動脈硬化や腎臓病などの大きな病気を引き起こすことにもなります。

我々が目指す世界
病気になったり、年齢を重ねて健康に不安が出てくると、様々な制限が出てきて日常の小さな幸せが失われることがあります。
私たちは、健康であろうとするために強いられる様々な我慢を技術の力で開放したいと願っています。
美味しいものを美味しく食べて、健康であり続けられる世界を目指します。
